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誕生日に「今日は夕飯済ませて帰るね」と妻。夫婦関係の終わり? 夫は人生の寂しさを感じて...<前編>

2024年10月19日

  • ■還暦の誕生日。まさか一人で過ごすことに...


    2021年の末のことです。


    カレンダーが最後の1枚になると感慨もひとしおでした。


    12月生まれの私はいよいよ還暦を迎えます。


    それなりに生きていれば誰もが通る瞬間ではありますが、我が事となるとやはりぐっと来るものがあります。


    「ああ、いよいよ今年も最後の1枚か、ほんと1年って早いよね」


    妻(57歳)がカレンダーを見ている私の背後から声をかけてきました。


    「全くだな。門松は冥土の旅の一里塚ってな、めでたくもあり、めでたくもなし、だ」


    「また墓場に近づいたってわけ? 年取ったもんよね、お互い」


    のんきな調子の妻に「あれ? まさか、気づいてない?」と不安に駆られました。


    そうは言っても、さすがに人生の転機の一つ、忘れちゃいないだろうと思いながら誕生日当日を迎えました。


    「何だ? 遅くなるのかな? 大事な日だってのに...」


    最近、認知症気味の義父(84歳)の世話をするために、義実家で過ごす時間が増えた妻でしたが、夕食の時刻になっても帰ってこなかったのです。

    ヤキモキしていると電話が鳴りました。


    ナンバーディスプレイで義実家からだと分かりました。


    「すっかり遅くなっちゃったから、夕食済ませて帰るね」


    妻の言葉に耳を疑いました。


    「え? ...あのさ、今日、何の日か覚えてる?」


    我ながら情けないほど、ぼやき気味の声で問い返した私。


    「え? なんかあったっけ? ...とりあえず、夕飯は済ませておいてね、じゃ」


    なんとも寂しい返事で電話は切れました。


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