毎日の生活にドキドキやわくわく、そしてホロリなど様々な感情を届けてくれるNHK連続テレビ小説(通称朝ドラ)。毎日が発見ネットではエンタメライターの田幸和歌子さんに、楽しみ方や豆知識を語っていただく連載をお届けしています。今回は「それぞれの『勁草』」について。あなたはどのように観ましたか?
【前回】「私なんか」の呪縛を描いた第9週。見えてきた"何者でもない"シマケン(佐野晶哉)の魅力
※本記事にはネタバレが含まれています。

田中ひかる著『明治のナイチンゲール大関和物語』(中央公論新社)を原案とするオリジナル作品で、見上愛、上坂樹里がW主演を務めるNHK連続テレビ小説『風、薫る』。第10週「疾風に勁草(けいそう)を」は、激しい風が吹いて初めて折れずに立つ強い草が見分けられる、という「疾風に勁草を知る」に由来する。第10週は、看護が背負う「救えなさ」と、女郎差別という社会の仕組み――二つの疾風が、登場人物それぞれの「勁草」を浮かび上がらせる一週となった。
週の前半を覆うのは、ゆき(中井友望)とトメ(原嶋凛)が担当する患者・小野田(宮地雅子)の死だ。意識が混濁したまま目覚めた小野田が遠方の娘の名を呼ぶと、トメはとっさに娘のフリで応じ、ゆきは娘の友人を装う。寝ずに付き添ったその翌朝、小野田は「ゆきさん、娘を......」と言い残して息を引き取った。
第7週でバーンズ(エマ・ハワード)は、患者に報われず悔やむりんに「看護は見返りを求めてするものではありません」と説いた。第10週はその先――どれほど尽くしても患者を「助けられない」現実を、見習いたちに突きつける。ゆきはその後、食事ものどを通らず、3日間、実習を休んで床に伏せる。