毎日の生活にドキドキやわくわく、そしてホロリなど様々な感情を届けてくれるNHK連続テレビ小説(通称朝ドラ)。毎日が発見ネットではエンタメライターの田幸和歌子さんに、楽しみ方や豆知識を語っていただく連載をお届けしています。今回は「名作朝ドラが重なる海辺のシーン」について。あなたはどのように観ましたか?
田中ひかる著『明治のナイチンゲール大関和物語』(中央公論新社)を原案とするオリジナル作品で、見上愛、上坂樹里がW主演を務めるNHK連続テレビ小説『風、薫る』。第18週「岐路にて」は、直美(上坂樹里)が病院を出て新しい仕事をつくり、りん(見上愛)は新潟で看護から離れたまま、二人が別々の岐路に立つ一週だ。看護は誰かの善意でまわすものなのか、報酬のある仕事にできるのか。それが週の主題である。
発端は、貧しい人のもとへ医者を送れないかという願いだった。調べてくれた木村(前野朋哉)は、採算がとれないため慈善で治療に行くのは難しいと答える。看護婦だけならと食い下がる直美には、看護婦が慈善で行くのも難しいことは君が一番わかっているはずだ、と返す。
行き詰まった直美は捨松(多部未華子)に相談する。裕福な人から受け取り、貧しい人からは取らなければ採算が合うのではないか。大学病院ではできないと漏らす直美に、捨松は「だったらご自分で会を作ればいかが?」と勧め、アメリカにはすでに派出看護の会があること、料金を三段階に分ける方法を教える。そのうえで、挑戦できる直美が羨ましいとも言う。自分は夫・大山(高嶋政宏)の力を借りて動けるが、それでは『金持ちの奥様なのに慈悲深い』で終わってしまい、女の地位向上にはならない。「私はいい人になりたいのではなく、この社会を変えたい」。慈善と、社会を変えることは違う。