毎日の生活にドキドキやわくわく、そしてホロリなどさまざまな感情を届けてくれるNHK連続テレビ小説(通称朝ドラ)。毎日が発見ネットではエンタメライターの田幸和歌子さんに、楽しみ方や豆知識を語っていただく連載をお届けしています。今回は「『自由』のありがたさと苦しさ」について。あなたはどのように観ましたか?
田中ひかる著『明治のナイチンゲール大関和物語』(中央公論新社)を原案とするオリジナル作品で、見上愛、上坂樹里がW主演を務めるNHK連続テレビ小説『風、薫る』。第24週「環」は、りん(見上愛)の娘・環(瀧七海)が主役の一週だ。題の「環」は娘の名前だが、人から人へ渡り、つながって回っていくものの名でもある。自分の道を決める娘を軸に、「選べる」という状態が、どれだけありがたく、その一方でどれだけ苦しく重いかが描かれる。
東京に戻ってきたシマケン(佐野晶哉)が、りんの前に現れる。今は郵便配達夫をしていて、「これが結構しっくりきて」「ようやく人並みになれましたから」と笑う。書くことで何者かになろうとした男が、人の役に立つことで居場所を得た。
一方の環は、女学校卒業が近づいているのに何をすべきかわからない。シマケンに絵を褒められた環だが、絵を仕事にしたいのかと問われれば、描いて生きていけるわけもない、ただ好きなだけだと答える。「好きなだけ」と言っておけば、諦める痛みも期待も背負わない。