上皇后美智子さまの長年のご親友であり、彫刻家・舟越桂さんの姉でもある末盛千枝子さん。絵本編集者を経て「すえもりブックス」を設立した末盛さんは、84歳を迎えた現在、東京から移住した岩手山を望む自宅でひとり暮らしを送られています。著書『今だからわかること 84歳になって』(KADOKAWA)は、80代という人生の深まりを迎えた末盛さんだからこそ感じられる、日々の発見や生き方の実感が綴られた一冊です。年齢とともに訪れる身体の変化や暮らしの機微をまっすぐに見つめつつ、ユーモアを交えて語られる言葉の数々は、これからの人生を軽やかに生きるためのヒントにあふれています。
※本記事は末盛千枝子(著)による書籍『今だからわかること 84歳になって』から一部抜粋・編集しました。
千枝子像と父のこと
上の像、不機嫌そうな顔をしているでしょう。疎開で盛岡にいた小学生の頃、私がモデルになって、彫刻家の父が作ったブロンズ像です。いきなり「千枝子、モデルになれ」と言われ、せっかく遊んでいたのに中断させられ呼びつけられたものだから、ムッとしているんです。父はコタツに入って粘土をいじっていたように記憶しています。大人になって、じっくりと眺め、不愉快な思いがちゃんと出ていることに驚きました。