毎日が発見ネット

上皇后美智子さまの長年のご親友であり、彫刻家・舟越桂さんの姉でもある末盛千枝子さん。絵本編集者を経て「すえもりブックス」を設立した末盛さんは、84歳を迎えた現在、東京から移住した岩手山を望む自宅でひとり暮らしを送られています。著書『今だからわかること 84歳になって』(KADOKAWA)は、80代という人生の深まりを迎えた末盛さんだからこそ感じられる、日々の発見や生き方の実感が綴られた一冊です。年齢とともに訪れる身体の変化や暮らしの機微をまっすぐに見つめつつ、ユーモアを交えて語られる言葉の数々は、これからの人生を軽やかに生きるためのヒントにあふれています。


※本記事は末盛千枝子(著)による書籍『今だからわかること 84歳になって』から一部抜粋・編集しました。


スタンド・バイ・ミー


32年前のこと。春彦が高校1年の時、学校のキャンプを終え帰ってきたので、お帰りと玄関の扉を開けたら、オレンジ色の髪の春彦が立っていました。「出て行きなさい!」。「おう、出てってやる!」。飛び出したその3日後、彼の友達の家に電話をしたら、お母さんが「いるわよ。今、夫が店に連れて行って黒に染めてるから」と。友達のご両親は、夫婦で美容院をやっていたのです。気が抜けました。言い訳のようですが、あの頃、大人も若者も、髪の毛を染めている人はほとんどいなかったのです。


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