「親孝行できたかな」積年の母の夢をかなえた「二人きりの成人式」。母の涙を今でも覚えています<前編>
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「私の成人式の話なので、今からもう35年前のことになります。父は失踪し、兄や姉も不在でしたので、当日は母と2人だけで過ごしました。私の成人式を祝うことは母の積年の夢でした。朝早くから振り袖に着替えた私が母と向かった先は...」
■成人式の日。母の夢をかなえるために向かったのは...
私には兄と姉がいますが、2人とも成人式のお祝いをしていませんでした。
理由は、2人ともいい加減な性格で、成人式の日に家にいなかったから。
堅苦しい場所が嫌いでした。さらに、母親のことをみっともない存在だと思っていたので、何日も前から友達の家に泊まって行方をくらましていたのです。
姉は成人式の日、朝早くからお化粧をしていたので、私が「今日は成人式でしょ?」と声をかけると、「そんなの誰が行くの」と笑って、デートだと出ていってしまいました。
母は、兄の時も姉の時もレストランを予約し、晴れ着を準備したのに実現することができず、とても残念そうにキャンセルしていました。